服がマーケティングまで担う時代になってきた。ファッション業界のビジネスルール変えてしまうような試みを、米ニューヨーク州のブルックリンに拠点を置くスタートアップ企業が現在開発している。

FashNerd公式ツイッターより
LOOMIA, INC.は、2019年夏ごろに衣服のように”着るコンピューター”、スマートファブリックをリリースする予定だ。スマートファブリックは、着用した服の使用データ・着心地などを自動的に収集し、ユーザー自身がブランド企業に販売できる仕組みを備えている。文字通り、着ること自体がお金になるという事だ。この服に使用されているのはLEL(The LOOMIA Electric Layer)と呼ばれる、電子回路が組み込まれた服飾用の生地。衣服同様、布みたいに折り曲げたり洗ったりすることができる。
LOOMIA公式サイト
LOOMIA Twitterアカウント
ユーザーはただ「着てるだけ」で自動的に着用データが蓄積されていく
この特殊な生地が縫い込まれた服を着ると、取り付けられたLOOMIA TILEと呼ばれる電子タグに着用時の環境データが記録されていく。一定期間にジャケットを着た回数だったり、着用時の平均気温といったデータも自動的に蓄積されていき、ユーザーはスマートフォンでタグをスキャンする事で、専用アプリを通じてそのデータを販売元のブランド企業に売ることができる。
データはクラウドストレージで共有され、ブロックチェーン上に作成された仮想通貨のようなLOOMIAの暗号化トークンで、ユーザーに対価として支払われる。そしてユーザーはこの支払われたトークンを使って、専用プラットホームから改めて服などの商品が購入できるという仕組みだ。
LOOMIAはこれまでにもスマートファブリックを使って、ファッションとテクノロジーを融合させる取り組みを進めている。寒い日に気温を感知して自動的に温めてくれるブーツや、暗い場所で中身を照らしてくれるバッグといったプロトタイプもすでに開発済だという。
Wishing you all a scrumptious and warm Thanksgiving. This prototype demonstrates how our heated boot protects your feet, even in #CodeBlue weather. #LoomiaTech pic.twitter.com/bEs8B0UWKp
— LOOMIA (@LoomiaCo) November 21, 2018
ファッション業界の仕組みはどう変わる?
普段の生活の中で、人がいつ・どこで・どんな服を着ているのかという実際のデータは、これまで企業にとっては現場を知る術がなく、アンケートやモニター調査などを通じて間接的に得るしかないものだった。スマートファブリックはブランド企業が着用者の体型だけでなく、環境データまでも取得することで、衣服の機能性に関してもアプローチをとる手段を提供していることは、従来にない新しい転換点だと言える。
ユーザーにとってもメリットは大きい。電子機器を介して自身の着服データを売買するには、従来の方法だとデータを収集する企業の手を借りる必要があった。着用しているユーザー個人の環境情報をも企業に預けるのには問題も多く、その上仲介手数料を差し引かれると、情報を販売しているユーザーに入る収益も少なくなる傾向がある。LOOMIAのスマートファブリックではブロックチェーンを利用し、中央管理者が不要なシステムを構築することが可能となっているので、セキュリティの向上化だけでなく、利益のほとんどをユーザーが受け取ることができるのだ。
LOOMIAでは今後ファッションブランドとも協力しながら、実際の一般消費者向けの製品が予定されていくという。
これがさらに新たなマーケティングにも応用されていく事に期待が膨らむ。
記事引用:https://www.gizmodo.jp/2018/07/loomia-electric-layer.html
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