アイヌ民族を「先住民族」と初めて明記したアイヌ新法案を今国会に提出

アイヌが法的に先住民族と定義。

現段階では法案の提出段階とはいえ、政府はアイヌ民族を「先住民族」と初めて明記したアイヌ新法案を今国会に提出する。

法案は、「アイヌの人々が民族として誇りを持って生活でき、誇りが尊重される社会の実現」を目標に掲げると強調。アイヌ文化の維持と振興への交付金制度の創設を盛り込んでいる。

交付金制度は政府のアイヌ施策の基本方針に基づき、市町村がアイヌ文化の継承などを目的とした計画を作成。計画に沿う事業に交付金が支給される。

引用元

地域や産業振興&国際交流を見据えて

政府は新法により、生活向上のための福祉や文化振興を中心にしたこれまでの施策から、「地域や産業の振興、国際交流を見据えた総合的なアイヌ政策」を行うとしている。観光産業の促進も狙いに含まれているようだ。

新たな交付金は2019年度予算案で10億円を計上し、アイヌ文化のブランド化推進やコミュニティー活動のためのバス運営への支援を想定する。昨年にアイヌ語による車内アナウンスが公共交通機関として初めて開始したことは注目された。

差別撤廃へ前進か

本法案はアイヌ文化の保護や振興以外にも特筆すべき点があると言える。アイヌ民族は1869年に開拓使が設置されてから、地域の慣習を禁じられ、同化政策を行われるなどの差別や弾圧に晒されてきた歴史があるからだ。

アイヌの聖地が水没することを理由に差し止め請求を行った、二風谷ダム建設訴訟は特に有名だ。二風谷では舟下ろしの伝統儀式「チプサンケ」が行われていたが、二風谷ダムの建設に伴って水没地区に指定され、立ち退きを求められた。文化継承が途絶えることを理由に故・貝澤正氏と故・萱野茂氏は頑強に反対。補償金の受け取りも拒否したため、北海道開発局は土地収用法に基づいて強制徴収を行った。

ダム建設差し止めの請求は、ダム本体が完成していたことを理由に棄却されたが、土地の強制徴収は違法とし、先住民族と認定した判決は画期的なことだった。

国連では2007年に『先住民族の権利に関する国際連合宣言』が採択され、先住民族への配慮を求めた国際的な動きも合わせて関連したことが、この法案の背景にあると思われる。観光業を視野に入れたビジネス志向的側面もあるものの、アイヌ民族自身の権利向上の一助になると思われる。ビジネスライクなハコモノ作りではなく、アイヌ民族の歴史と文化に向き合えるかはこれからの努力次第だ。

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