『21世紀の資本』を著した稀代の経済学者トマ・ピケティが、大規模な税制改革案などを提案

不平等な世界を終わらせよう。

2014年頃に世界的注目を集めたフランスの経済学者トマ・ピケティ氏が率いるグループが、崩壊の危機に近づきつつあるといわれるEUを「より公平にするため」に、多国籍企業や富裕層から徴税する総額8000億ユーロ(約100兆円)規模の税制案を中心とする「ヨーロッパの民主化のためのマニフェスト」と題し提言した。

AppleやGoogle、Amazonといった巨大多国籍企業の課税率に15%分を上乗せすること、年収10万ユーロ(約1300万円)以上の個人に対する増税、そして評価額100万ユーロ(約1億3000万円)以上の個人資産に対する富裕税、そして企業などが排出する二酸化炭素に対する課税などが内容に盛り込まれている。

グループは数カ国から集まった経済学者や歴史家、元政治家など50人以上のメンバーから構成されており、スペインの左派政党「ポデモス」のパブロ・イグレシアス党首やイタリアのマッシモ・ダレマ元首相、ベルギーの政治家であるポール・マニェット氏、そしてイギリスのブラウン政権の際にアドバイザーを務めたマイケル・ジェイコブズ氏らが署名している。

グループを率いるトマ・ピケティ氏は、「戦争や大災害が起きない限り、資本による収益(資本収益率)は労働による収益(経済成長率)より高くなる」ことを過去200年に及ぶ数カ国の納税記録などから、科学的に証明した。その主張をまとめた『21世紀の資本』はベストセラーとなり、個人の努力のみでは格差拡大は止らないことを、理論的に結論づける根拠となった。同氏は同書に於いて、資本主義は効率的な配分システムで”公正”な配分システムでないとしている。

現EU体制は限界

グループはEUが「技術的な袋小路(technocratic impasse)」に追い込まれていると主張。「もはや従来と同じであり続けることは不可能」であり、「我々はこれ以上、現在のヨーロッパの状態を根本的に変化させないままに新たなEU離脱国を出し、組織が解体してしまうのを待つわけにはいかない」とした。イギリスではEU離脱「ブレグジット」し、世界的にも極右に分類される自国路線を主張する政治家が注目されている今、EUにとっては差し迫った課題だ。

得られた税収は、半分がEU各国への分配、25%がEU全体での研究開発や教育に、そして残りが気候変動や移民問題を解決するための予算として振り分けられる方針が定められている。税の使われ方は各国の政治家や欧州議会議員などで構成される委員会によって監視されることになる模様だ。

多国籍企業や「ミリオネア」と呼ばれる富裕層に重く課税することで税収を増やし、EU諸国が直面している貧困や移民、気候変動、そしていわゆる民主主義の赤字など喫緊の問題に取り組むための具体的な解決策になるのか今後注目される。

引用元:経済学者トマ・ピケティのグループが「より公平なヨーロッパ」を目指して予算100兆円規模の税制マニフェストを提案(GIGAZINE)

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