1日で楽天の年間売上超えを記録、アリババ等を支える中国の物流システム。

中国企業アリババが1日で楽天の1年を追い抜く

 11月11日はポッキーの日とネットで湧きだっていた日本。隣では中国のEC(電子商取引)最大手のアリババはその日を「独身の日(シングルデー)」と見立て、10回目となる大規模なセールを開催した。過去最高売上げとなる3兆5110億円を記録し、たった1日で楽天の年間売り上げを超えたのだ。
 「バーバリー(BURBERRY))」「ヴェロモーダ(VERO MODA)」「ナイキ(NIKE)」など18万にも及ぶブランドが参加し、国や地域も230と年々増え続け、売上高も更新し続けている。アリババは更に今後の計画として、5年間で約23兆円相当の海外商品の大輸入計画を発表し、更なる拡大を目指している。
 17年度のアメリカのブラック・フライデー(サンクスギビング翌日の金曜日の買い物商戦)のネットショップの5600億円と比較すれば、中国経済の消費の底堅さがわかるだろう。アリババのライバル企業であるEC企業の京東集団の売上げも加えると、前年比26.3%増の5兆9712億円。これはセブン&アイ・ホールディングの年間売り上げに匹敵する規模である。そして驚くことに京東集団では決済終了後、当日・翌日配送といったスピード配送で商品を購入者に届けているのである。
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中国でも起こった物流崩壊

中国のEC市場規模は10兆円強、世界市場の40パーセントを占めている。配送需要の増加に耐え切れず問題が噴出している日本の「物流崩壊」とは異なり、大規模な商戦を支えている中国の物流システムとはどうなっているのだろうか。中国都心部は日本の都心部と似たような生活スタイルである。「仕事で忙しく買い物に時間を割くことが難しい」「渋滞だらけの街なので移動だけで長時間かかる」等、買い物をネットショッピングに頼る人々が多い。実は過去に中国は日本と同様な問題を抱えていた。「記念日セール」などの短期的に集中する物流需要に中国物流も数年前まで物流崩壊を起こしていたのだ。しかし中国の物流はそれを乗り越えた。

自社で物流を支える

アリババに次いで中国大手EC企業の京東集団では、物流全てを自社でカバーをしようと、自前の倉庫や配送のための従業員を正社員として雇用。中国全土に基幹倉庫と大型倉庫を設置した。また巡回用ロボット・ドローン、輸送用ドローン、などテクノロジー分野にも手を出している。多大な固定支出の対価として得たのが、京東集団なら問題なく届けてくれるという中国消費者からの高い信頼である。今や物流部門を子会社化し、他者にもサービスを開放するなど京東集団は急速に成長している。

 

既存の物流企業と組み、開発に投資する

アリババも13年に物流の子会社を設立した。アリババの物流会社「菜鳥」は京東集団とは対照的にシステム開発に手を出した。独自の住所データベースの整備や送り状の電子化、AIの活用による荷物サイズの自動算出を既存の物流企業に提供し、3000社と連携を取り配送をしているのだ。談合などとは打って変わってこのような両社の競争が中国の物流を向上させてきた。菜鳥への今までの投資額が3兆円という数字に、その本腰の入れ具合が分かるであろう。

日本と中国の普及の差

 日本の物流崩壊の課題でもある再配達に対しても、中国ではEC企業が自ら進んで投資をした。その結果、スマート宅配ロッカー(ロッカーに宅配便が配達され、受取人はパスワードを入力し荷物を受け取る)が開発された。EC企業や物流企業が共同でスマート宅配ロッカーをオフィス街や住宅街に設置をして、今ではその数は20万基以上となっている。更に20年には77万基が配備される予定であり、国家プロジェクトとも言える力の入れようである。そして並列して無人宅配車の試験運用も行っている。このように中国の物流の新技術が急激に普及していっている理由は「競争」に他ならない。
 日本はというと、スマート宅配ロッカー、宅配ボックスの「発売」が進んでいるに過ぎず、日本での普及率は集合住宅で23%、戸建てで1%未満となっている。AIやドローンのようなハイテクノロジーが中国の物流崩壊を防ぎ、今の中国の物流を支えているのではない。中国のEC企業の資余力、人材への投資、先を見通し必要な支出は厭わないという考え方こそ、中国の大規模な物流を急激に成長させ、維持しているのだ。

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